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健康塾健康塾トピックス

第5回 糖尿病の基礎知識−糖尿病治療のコツ−

Q1.糖尿病はどうして治療しなくてはいけないのでしょう

 それは、糖尿病が直接生命に大きな影響を与える病気だからです。糖尿病になると心臓病、脳卒中、腎臓病、ガンでなくなる確率が高くなります。特に心臓病では3.5倍。腎臓病に至っては11.3倍にもなります。また、糖尿病が原因で毎年3000人を超す方が失明しています。


Q2.どうなったら気を付けなくてはいけないでしょうか

 糖尿病は前回にお話したように血糖値の異常が二回あった場合に診断します。しかし,糖尿病の基準を満たしていない場合でも正常でない(境界型とくにIGT)の場合、しっかりと治療を開始することが必要です。IGTというのは表に示しているように糖負荷試験で糖分をとった後の血糖が高い状態です。これは食後に血糖が上昇することに似ていますね。そして、インスリンという血糖を下げるホルモンが多く出ている場合も注意が必要です。何故なら、高インスリン血症も動脈硬化を進めることが知られているからです。


Q3.境界型って何でしたっけ?

 さあ、これは復習です。境界型とは正常でもなく糖尿病型にも属さないタイプということです。この様なタイプの方々は健康診断ではHbA1cが正常の中でも若干高いかなと言うくらいにとどまり、空腹時血糖は正常と言うことがほとんどです。しかし、動脈硬化は糖尿病の患者さんに迫る勢いで進行しますし、この境界型から年間数%づつ実際の糖尿病に進展してゆきます。


Q4.糖尿病治療の目標値はどうなのでしょうか?

 糖尿病の合併症である、網膜症(眼)、腎症、神経症はHbA1cが6.5%以下の場合にはあまり起こってこないことが日本の熊本での研究で示されています。ですから、まず第1の目標はHbA1c 6.5%以下です。しかし、この値でも動脈の病気は進む可能性があるわけですから、できるだけ正常範囲である5.8%以下を目指すことが必要です。また、食後の高血糖も動脈硬化をすすめ、心臓病での死亡率を高めますから十分な注意が必要です。


Q5.血糖が良くなるとよい効果があるのですか?

 もちろん,よい効果が期待できます。
イギリスでの研究では図に示すように血糖の平均値であるHbA1cが下がることで大きな効果があることが証明されました。特に細小血管症(網膜症、腎症、神経症)は大きくその危険率が減少します。また、同様に血圧を下げることでも効果があることが知られています。ここには上の血圧のデータのみを掲載しましたが、糖尿病での血圧の目標は130/80未満です。血圧を下げることでもこの様に合併症が予防できます。


Q6.実際の治療はどの様にするのですか?

 治療の基本は生活習慣の改善のうえに薬物療法がきます。食事療法、運動療法をないがしろにして薬物療法に頼っても決してうまい治療はできません。
 そして、薬物療法をする上で重要なことは体重の増加を予防することです。インスリンの分泌は食欲をどうしても亢進させてしまいます。ですから、一時的に血糖は下がってもまた、血糖が上昇して薬が増えて、また血糖が下がって体重は増えてという悪循環になるケースが多々あります。
 アクトスという薬は脂肪細胞を分化させ、脂肪細胞を小型化させます。また、抗動脈硬化作用も期待されているインスリン抵抗改善薬です。しかし、食事療法がうまく行かないと分化してせっかく小型になった脂肪細胞が再び大型化してかえって体重の増加につながってしまうこともあります。

 いろいろ治療は進歩していますが、食事療法と運動療法が重要なことには変わりないようですね 。