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第7回 動悸・息切れを感じたら

 動悸・息切れという症状は私たちが日常生活をしている上でしばしば経験することで、なかなか皆さんの関心も大きいところではないでしょうか。しかし、こういった一般的な症状の中に大きな病気が潜んでいることもあります。病気に関しては繰り返しお話しているように予防、早期発見がとても大切です。 息切れの中にも、生活上の問題で動悸・息切れが生じるようになってしまうこともあります。ですから、ちょっとした心がけで改善してゆくこともあるのです。健康な今日を守るため、病気をこれ以上悪くしないため、健康にまつわる知識を高めてゆきましょう。

動悸とは

 動悸とは心臓の存在を意識する感覚をいい、主観的な感覚ということができます。ですから動悸をどう感じるかは感受性の問題が関わってくるので、訴えの強さが病気の重大さを直接表すものではない事に注意しなくてはいけません。事実、ひどい心不全のために救急車で搬送した患者さんが、私たちの病院までは眩暈と息切れを感じながら歩いてきたということもありました。

動悸の起こり方による違い

 慢性的に起こってくる場合:発熱、妊娠、貧血、甲状腺、褐色細胞腫、クッシング症候群などのホルモン異常、心疾患としては慢性心不全、心房細動などが代表的でしょう。これら慢性的に起きている動悸は心房細動か洞性頻脈であることが多いと思います。こうしてみてみるとわりと心臓病以外のものも多いようですね。

動悸の見分け方

 これは決して簡単なことではないのですが…あんまり動悸を軽視することは危険です。ただし、きちんと診断がついているものであれば安心も出来ます。きちんと診断をすることが大切です。今日よく見る不整脈で見逃していけないのが心房細動でしょう。背景に心臓病やその他のホルモンの病気が隠れていることもあり要注意です。心房細動の治療はなかなか厄介な面もありますが、心臓の中に血栓が出来るのを予防することと、動悸(脈拍)を押さえる、 出来れば正常な洞調律に戻すことの3つからなります。
  脈が速くなったときに、一番気をつけなくてはならないのが虚血症状(狭心症・心筋梗塞)や心不全症状があるかどうかでしょう。虚血症状は動悸の前に、短時間(数分でも)の胸の締め付けられるような、歯が浮くようなとか、 左腕がうんとだるいといった様な症状があれば疑わなければならないでしょう。その後に動悸が出てくるというと、「心筋梗塞をすでに起こしていてその後に心不全が出てきた」とも考えられます。こういった虚血症状がなくても動いたとき、横になったときに動悸が強くなるときは心不全(心臓の働きが悪くなっている)ことを考える必要があります。その時は身体に負担のかからない方法で移動し、病院を受診することが必要です。

心臓以外で脈が速くなるとき


1.精神的興奮
2.ホルモン・代謝の異常:甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、低血糖
3.クスリ:抗不整脈薬の過剰、アトロピン(ロートエキス等)、カフェイン(緑茶、コーヒー、コーラ等)、アルコール飲料
4.その他:発熱、貧血、肺の病気

この様な状態がなくて動悸がある時は心臓に問題があるか検査をする必要がありそうです。

「脈拍から不整脈を予測する」
120回/分以下   洞性頻脈、心房細動
140〜180回/分 発作性上室性頻拍症
200回/分以上   心房粗動、心室粗動

危険な不整脈

 健康な人では脈拍が180回/分程度になっても問題がない場合が多いですが、高齢になってきたときは容易に心不全の傾向を来してきます。クスリで元に戻らないときは電気ショックをすることもあります。しかし、多くのこの手の不整脈はカテーテル手術でうまく治るようになってきました。 また、意識の低下を伴うような不整脈の場合は脈がとてもゆっくりだったり、速くて脈をふれづらい場合もあると思います。不整脈がこの様なときは救急車を呼んでください。

息切れ

 呼吸困難とほぼ同義語として使われ、呼吸運動時に起こる、不快感、努力感のことをいいます。しかし、イメージ的には呼吸困難の方が具合の悪いイメージがありますね。
 症状:@空気が足りない A胸が膨らまない B胸が圧迫される C息が詰まる など

息切れを起こす病気にはどんなものがあるのだろうか?
のどの病気
気管支・肺の病気:肺炎、気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、気胸、肺癌 等
心臓・血管の病気:心不全、肺血栓 等
腎不全、重症糖尿病など代謝の異常
睡眠時無呼吸症候群

症状 検査 病気
急性 胸痛 レントゲン
心電図
気胸
心筋梗塞、狭心症、肺閉塞栓
過換気症候群
喘鳴 気管支喘息
発熱 レントゲン 肺炎
慢性 横になれない レントゲン
心電図
心不全
咳、痰、口すぼめ呼吸 レントゲン 慢性閉塞性肺疾患
咳込み 間質性肺炎
貧血など

慢性閉塞性肺疾患(COPD、たばこ病の代表選手)

 耳慣れない言葉で、「えっ?」と思われる方も多いのではないでしょうか。この病気は煙草などの有害な空気を吸い込むことで気管支は肺に異常を来す病気でその結果として、正常な呼吸が妨げられ、息切れが出てきます。肺気腫と慢性気管支炎があります。
 多くの場合、長期間にわたる喫煙習慣が原因であることから(患者の90%は喫煙者)、COPDは生活習慣病の ひとつに挙げられています。また、受動喫煙(自分は吸っていなくても周囲の喫煙のためにたばこの煙を吸うこと)によっても発症するので注意が必要です。肺気腫をはじめとした慢性閉塞性肺疾患はレントゲン写真で明らかな変化が出たときはすでに中等症程度まで進行していることが多いです。COPDは近年、日本人にも多い疾患で、診断がまだついていない患者さんが多いということが明らかになりました。検診で少し肺気腫の様ですといわれたときは迷わず、呼吸機能検査を行い診断を確定的にした上で、禁煙をお勧めします。


運動不足による息切れ

 全身持久力とは、歩行、走向といった全身の筋肉を使用した運動を持続できる能力のことでいわゆるスタミナと考えることが出来ます。この能力は高血圧、糖尿病罹患率、癌死亡との関連もあきらかにされています。そして70歳時には20歳時の50%に低下してしまいます。
 ですから、元気のもとは筋肉量の維持、このためには大腰筋の維持がとても重要で、筋肉量を維持、増加させるにはウォーキングだけではだめといわれています。軽度の不可を与えないと筋量の維持は出来ないといわれています。
 そこで手軽に出来る、運動を紹介したいと思います。マシントレーニングほどではありませんが、筋肉量は2〜3ヶ月の運動で6%強の増加が得られています(マシンでは11%程度)。
 まず、ストレッチをしっかりとしましょう。反動をつけずに筋肉や腱がほどよい緊張を得る位置で10〜15秒程度持続します。
 実際の運動は、ひとつの運動を繰り返し10回行うことを1セットとして行うようにします。筋肉トレーニングはしすぎるとけがの元ですのでゆっくりと増やすのがコツです。1ヶ月がすぎて順調な場合は1種目あたりのセット数を2−3セットに増加して続けます。
 3ヶ月をすぎたら、もう少し強い運動に入っていくことも可能です。